マネジメントの失敗:放任主義における注意点

他者マネジメント

組織を任されるときに人それぞれマネジメントのスタイルを持つことになると思う。

所属した部署・上司・他部署の人などとのコミュニケーション、仕事の過程と成果、色々なものごとを知り経験を通じてキャリアを積み重ね、そして、後輩や部下ができ、組織を任されるようになると、その積み上げたものをベースに自分なりのマネジメントスタイルが確立されていく。

僕は20年以上部下をもつ立場でマネジメントをやってきているが、初めの頃から一貫して変わらないスタイルの一つに放任主義がある。

放任主義の反対は管理主義になるのだろうか。もちろんゼロイチの話しではないので、ある程度管理はしつつも任せる範囲を大きくしていき、最終的には殆ど口出しをしないという感じである。

人に任せるうえでいつまでたっても難しいのは、示した方向性や指示に対して「自分が思い描いている成果に達することが殆どない」ということがある。100%の成果どころか80%でもなく、50%~60%で合格点を出すということはザラなのではないか。
自分ではない他の人がやる仕事であり、色々な人が集まって部署となり、文化ができ、それをあるところでは受け皿となって組織を運営していくというのがマネジメントの本業でもあると言えそうだが、ここで書きたいことと逸れるのでまたどこかで書きたい。

僕が放任主義を軸の一つにしている理由は、僕自身が仕事の縛りが嫌いで、自由に発想して成果を得たいと思っているのが根幹にある。実は何か決まったルール上で競争するのが苦手だということもある。それはそれとして、やはり自分なりにやってみてそれを認めてもらうというのが一つのモチベーションとなり、自己満足かもしれないが仕事の成果を実感したり、ひいては自分の生活に張りがでる気がしている。

もちろん放任と言っても度合いが肝心で、部署の成果というものも意識をしなくてはならない。また、部下の中にはしっかり指示が欲しい人もいるので、その状況や人によって見極めが必要である。

僕が100人規模の会社で働いていた時のこと。

事業の成長に伴い組織内に内部監査の機能が必要とされていた。内部監査と言っても、この規模の会社では、専任担当者を置くような本格的なものではなく、まずはそこまで大きなコストをかけず作ることが求められ、管理部門と事業部門で相互に監査をするような形でそれぞれの担当者が兼務するように配置するものである。

内部監査業務というのはざっくり言えば、会社法をベースにコーポレートガバナンス上の組織体制として求められるものと、金商法に則りいわゆるJ-SOX対応として社内モニタリング機能として求められるものがあり、実際のところ全てにおいて精通することは、経理や管理部門の責任者クラスの知識が必要である。

ただ、事前にフォーマットは用意してあり、会計監査人や監査役など外部のアドバイスも受けられる状況もあるので、ボリュームはあるものの内容を確認して整理することで、作り上げることができるものであった。

そして、これらを作り上げるため、兼務担当者の配置はするものの、さすがに一人はメインで構築する担当者を決める必要があり、一応事前にある程度理解度を確認したうえでお任せすることにした。

いきなり結果に飛ぶが、このお任せは完全に失敗した。蓋を開けたらほぼ進んでいなくて、マジか。。という具合だった。

僕はその担当者と今後の方向性をすり合わせ、関係者とも連絡できる状態にして、何となくゴール地点も共有できたつもりでいたのだが、担当者曰く、理解はできるがどのように行動したら良いかわからないということである。

恐らくその時点のざっくりしたステップは、

・一般的な内部監査の全体像を把握し、事務的な流れや自分を含む関係者の役割を理解する。
・知識として足りていないものは調べる、学ぶ。
・用意してあるフォーマットと事業内容や状況を照らし合わせて、運用(監査)できるか確認する(フォーマットがあるので監査の必須要件はほぼ満たしている)。
・外部や兼務担当者を巻き込んで、アドバイスや違う視点での確認を踏まえて作り上げる。

というものになるだろうか。

スタート時点でも、泣きが入った際も、もちろんこういった話をして理解できるということも確認したのだが、どうやら会社としてはじめての取り組みで、僕自身も外部に聞いてみよう、調べてみようという対応に終始してしまったことで、組織で孤立しているように感じ、責任もより大きく感じてしまったことで、完全に疑心暗鬼状態になってしまったようだった。

ようは、心理的なところを放任すべきでないことを学んだ。

この取り組みにおいては、恐らくあずける仕事の理解度を図るだけではなく、何を行動しているのかをまずはしっかり見てあげることが必要で、手を動かすことを任せたとしても時間を使って一緒に確認し、内容を評価して、進捗していく実感を与えていく必要があったのかと思われる。

実のところこれは経験があっても難しい問題だ。。。その業務、時期、受け手など様々な状況によって同じケースは一つもない。しかも、年齢や役職が上がれば上がるほど、任せざるを得ないものが増えるので、むしろ難易度は上がってきてしまう。

会社や部署を鑑み、一人ひとりの状況を把握し、放任/管理の度合いを調節し、最終的に黙って待つことに尽きるのか。。。

いつまでたっても時々振り返らないと間違いを繰り返しそうである。

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