部下のマネジメントの課題ややり方において、しばしば「怒る」「叱る」という言葉が取り上げられるのを目にする。
マネジメントは、「人を行動させる」ことが一つの成果/目的でもあるため、コミュニケーションにおいて行動を喚起させることは重要な要素である。もちろんコミュニケーションは怒る叱るに限らず、色々な表現を用いて行うものであるのでどれも重要なのだが、やはり嫌われる要素があるものは、その扱いが難しいものだと思う。
主に「叱り方」についてよく書かれていることは、
・「(感情的に)怒る」ことは避ける
・必要に応じて「(論理的に)叱る」ようにする
・人前で言わない配慮も必要(1on1でしっかり伝える)
・相手によって使う言葉、温度感などを変える必要もある
という感じだろうか。
まったくその通りで、恐らくそのようにやっていくことが最善だと思う。
では、「何に」対して叱ることが大切なのか。
業務ができなかったときに叱ることもあるかと思うが、ミスは誰でもあるし、もしミスったときに反省の色が見えるなら、その人自身が一番ミスしたことに凹んでいるので、あえて追い打ちする必要はないように思う。次回同じミスをしないかどうか見てあげれば良いし、必要であれば客観的にヒントやアドバイスという形でサポートしてあげれば良い。
ただ、その延長線上で、
・ミスによって人に迷惑をかけたとき
・キャリアの大切な時期を見失っているとき
がそのタイミングになるのではないだろうか。
周囲の人との関係性は、特に会社組織で働く場合は極めて重要な要素で、今後も継続して働いていくうえで人間関係上マイナス面があるのは足かせとなり、将来に渡って大きな差を生み出す可能性が高いので、ミスの発生段階でしっかり認識して改善していく必要がある。
もう一方は、自分事のようなことなので放っておくこともあるかもしれないが、自分自身を大切に「感じている」人は多いが、本当に大切な将来までもしっかり想像できている人がいるかというと、特に20代では殆どいないように思われる。実感値としては10%,20%くらいなものかもしれない。
なので、そういったタイミングは客観的にみてあげて、ここは絞めておけというタイミングでは、その人の「未来の自分」からのメッセージを伝える役割として「怒った」方が良いと思う。
「おい、お前!今だぞ!」って感覚。
ただ、理論構成や言い方なんかはしっかりしておかないと、単に感情的な人になるので注意だが。
マネジメントは、会社と所管部署の結びつきを理解して、その部署の成果や未来、メンバーの将来なども含めて一つの方向性を見出していくことが必要となる。それらの要素は相互に関係しあい、複雑に絡み合っているので、その一つとしてメンバーの将来を考えてあげれば自ずと「怒る」タイミングがあるのではないだろうか。
叱るテクニックも必要だが、怒るという感覚があるとより深みのあるマネジメント力を身に着けられるのかもしれない。